御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「今のお前になら安心して社を任せられる。決めたよ。三年後に代表の座を譲ろう」

(それって、もしかして、宏斗さんの夢が叶うということ?)

隣を見ると、宏斗が言葉も出ないほど驚いた顔をしていた。

喉ぼとけを上下させた彼が、絞り出すような声で確認する。

「兄さんに継がせたいんじゃないの?」

「継ぐ気のない者に継がせられないだろ。他にやりたいことがあるらしいぞ。今度、飲みにでも誘って自分で聞いてみろ」

「宏斗さん……!」

抱き合って喜び合いたい心境だが、お互い子供をひとりずつ抱っこしているのでできない。

だから笑顔で祝福する。

「おめでとうございます。夢が叶いますね」

「ああ。渚のおかげだ。嬉しくて手が震えるよ。この手でISSIKIをもっと大きくしてみせる。これからも俺を支えてくれる?」

「もちろんです」

声を弾ませて話していると、双子が揃って「あーあー」と笑いだす。

双子が笑えば大人たちも笑う。

緊張と心配で臨んだ百日祝いは、最高に嬉しい思い出となった。



それから半日が過ぎ、時刻は二十三時半になる。

渚と宏斗はぐったりしてソファに座っていた。

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