御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
(狙いはお店じゃなく、私だって言わないと)

震える涙声で打ち明ける。

「私の元夫のしわざだと思います。私のせいでご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」

「えっ、どういうこと?」

離婚歴があるのを話していなかったので驚かせてしまった。

逃がさないと言われて復縁を求められている事情を話すと、オーナー夫妻が唸った。

ふたりとも困り顔で、どうしようかと相談するような視線を交わしている。

「今の電話の録音は?」

「ごめん、してない。そんな内容だと思わなかったから。ナンバーも非通知だった」

「口コミサイトの方で証拠を得るにしても、弁護士やら開示請求やらで大変そうだな」

レバロに勤めてたった一年ほどでこれといった貢献はしていないのに、多額の費用と時間をかけて守ってもらうわけにいかない。

オーナー夫妻を困らせたくはないし、なにより渚自身が迷惑をかけている状況に耐えられそうになかった。

「私がいるとまた嫌がらせがあると思います。今日で辞めさせてください。本当に申し訳ありませんでした」

深々と頭を下げると、夫婦で顔を見合わせてからオーナーが頷いた。

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