頻発性哀愁症候群
「馬鹿みたいだけど、『これからさらに寂しくなるかもしれないっていう不安だけで症状が悪化した』。まだ起きてもいない未来のことなのに」

菅谷くんは「本当に馬鹿みたいだろ?」と悲しそうにこちらを見上げた。
 
菅谷くんの気持ちを私は完全には分からない。でも……

「その気持ち、ちょっと分かる」

「え?」

「多分、この病気は不安で堪らないだけなんだと思う。『寂しい』って結局は不安なんだよ。私たちは、誰かに『大丈夫』って言って欲しいだけ」

私は、テーブルの上に置かれた菅谷くんの手をぎゅっと握った。


「どうして私たち、こんなに『寂しい』んだろうね」


「寂しい」という感情を経験したことがない人はいないはずなのに、「寂しさ」で生きていけなくなる人は私達だけ。

「ねぇ、川崎さん。川崎さんってこの病気になるまではどうやって寂しいって感情と付き合ってたの?」

「え?」

菅谷くんの質問に私はすぐに答えられない。
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