青い青い空
page.20 重い手のひら、切ない瞳
「……青崎?」
仕事終わり。墓石の前で手を合わせていた私に声を掛けたのは、手桶を持つ海外支部長の野田だった。
「こんなところで、奇遇だな」
「そうですね」
一気に賑やかになり、彼もさぞ喜んでいることだろう。
墓石相手に微笑むと、何かを思ったのか「なあ青崎。この後暇か?」と野田は少しだけ声を張った。
「残念ながら、家に帰って寝るという仕事が残ってるんです」
「大丈夫か? 忙しいなら無理にとは言わないが、できればちょっと付き合わないか?」
「かっ、担いでいる時点で強制じゃないですか!」
「ははっ。わかってるんじゃないか」
そのままお洒落なバーへと連行された私は、場違いな空気感をひしひしと感じながら、出されたジュースにちびちび口を付けていた。
「旨いか?」
「美味しい、ですけど」
完璧子供扱いをしている野田の目の前には氷塊の入ったグラス。ウイスキーやバーボンなど、先程から強そうな酒ばかりを飲んでいるが、少し笑顔が多くなった程度。顔色一つ変えず、今度はウオッカを頼んでいた。隣にいるだけで酔いそうだ。
「それで? 仕事終わりにどうしてあんなところにいたんだ?」
「……どうしてでしょう」
「何か理由があったんじゃないのか?」
「理由と呼べるようなものは何も」