青い青い空
グラスを呷る彼をじっと睨むように見上げる。すると視線を感じたのか、目が合うとふっとやさしく目尻に皺が入る。
「他でもないお前がいいと思ったなら、話してやってもいいんじゃないか」
「どうしてですか?」
「続きを書いたのは確かに龍青だ。でも知ってる奴らからしてみたら、ありゃお前の話。お前のもんだ」
「でも……」
俯く私の頭に大きくて重い手のひらが乗る。「きっと一石も同じことを言うだろうよ」と、その重みが、安心できてあたたかい。
「今度会った時に、話してみます」
「そうしろそうしろ」
しかし徐々に重くなっていく手に、だいぶ酔いが回ってきたことを悟る。危うく首が折れるところだった。
「それで?」
「そ、それで?」
これ以上何か話すことがあったろうかと首を傾げていた矢先のこと。
「喧嘩中だって聞いたぞ、その一石と」
「け、喧嘩をした覚えは……」
「辛気くさいって、佐裕子が愚痴ってた」
「も、申し訳ないです……」
まさか、専務兼婚約者である彼女にまで被害が及んでいるとは露知らず。
こちらとしても聞きたいのは山々なのだが、ああして面と向かって避け続けられると、二度目の拒否が怖くてなかなか一歩を踏み出せない。