青い青い空

 夏の、匂いがする。頬に触れる、少しだけひんやりした手が気持ちいい。


『……私。長部(おさべ)が書いた小説が読みたい』


 目蓋を閉じてこぼれていった涙と一緒に、それはこぼれて落ちた。


『いや。それはちょっと……』

『全力で応援してくれるって言った』

『そ、それとこれとは話が』

『違わないもん』


 また溜まっていく涙に白旗を揚げた彼は、『お前、覚悟しとけよ』と照れた。


『やっぱり【青い青い空】同盟を結んだ者としては、一番に目を通すべきじゃない?』

『正当化しようとすんじゃねえ』

『だから、同盟相手の長部が嫌がるなら、もう言わない』

『なら、最初から言うんじゃねえよ』

『もし気が向いたら。……もし私のこと覚えてたら、よければ読ませてよ』

『……お前、馬鹿じゃねえの』


 少しだけ拗ねたような表情で、こつんと頭を叩かれる。


『お前みたいな馬鹿野郎、死んだって忘れねえわ』


 そして次の瞬間には、ふっと堪えきれない笑みをこぼしていた。


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