青い青い空
でも、先天性の色覚異常に治療法はない。加えて全部がモノクロに見えるなんてよっぽどだ。治療用眼鏡をかけたところで、多少色が乗ったくらいにしかならない。
「そんなことないよ。たとえそうだとしても、私は嬉しかったよ」
「お前はよくても、俺が全然よくねえんだよ」
眼鏡をかけて、泣きながら喜ぶお前を見て、正直悔しかった。
本当なら、お前が見えている景色は、もっと綺麗なはずなのにって。
「でもあの日、お前が『綺麗な青い空だね』って泣いた時、ああこれだって思った」
もしかしてと思って、いろんなものを描いた。子供みたいにはしゃぐお前を想像しながら。
「予想以上の反応に、俺は大変満足しています」
ジューと鶏肉を焼く匂いがする。どうやら今日も、私の好物を作ってくれているらしい。
「それが今、宵くんが一番したいこと?」
「まさか、私のせいで宵くんの将来がとか、バカなこと考えてんじゃねえだろうな」
「少しだけ」
「思ったんかい」
「でもね、それ以上に嬉しい気持ちの方が大きいの。宵くんのやりたいことが見つかってよかったって。宵くんが見ている世界を、私も見たいなって」
「あっそ。それは何より」