青い青い空
素っ気ない反応。だけど、彼の表情はとても穏やかで。
だからか、やっぱり胸が苦しくなる。
「絵を描くために、家を出て行くんだね」
思っていた以上に、か細い声が漏れた。もしかしたら、料理をしている彼には届かなかったかも知れない。それならそれでいいと思った。
「治んねえなら変えりゃいいじゃんって、思ったわけよ」
「変えるって、何を?」
「……世界?」
「お、大きく出たね」
「それぐらいしたって罰は当たんねえだろ。先にお前を苦しめたのはこの世界なんだし」
「……宵くん」
けれど急に照れくさくなったのか、睨み付けてきた宵は「広げた絵片付けねえと飯食わせないからな」と、それ以上自分の思いを話すことはなかった。
「不思議だね」
「何が」
「どうして、宵くんが描いてくれたら色が見えるのかなって」
「んなこたどうだっていいんだよ」
そう言って、彼は嬉しそうに笑った。
どんな方法であろうと、お前に綺麗な世界を見せられるなら、俺はそれが本望だからと。