これが恋じゃないとしても
相変わらず読書三昧で過ごし、やっと卒業式の日を迎えた。

本当に「やっと」という感じだ。

これで、もうこの学校とも、田舎とも縁を切れる。



卒業式では、泣いている生徒も多かったが、何が悲しくて泣いているのやら⋯⋯と、白けた気分で見ていた。

さっさと帰ろう⋯⋯と、人でごった返す校門から離れようとすると


「ねぇ、ショウちゃん!」

もう聞き飽きた⋯⋯しかし、もう二度と聞くことのない声に振り向いた。

「なんだよ」

最後ぐらい優しく接したかったのに。

「俺、ショウちゃんに伝えたいことがあるんだ」

「大学、どこか受かったのか?」

「うん。田舎のFラン私立だけどね」

「そうか。でも、よかったな。俺もそれを聞いて安心した」

「ありがとう。だけど、本題はそれじゃなくてさ⋯⋯」

「なんだよ」

今西は、何だか急に照れたような顔をする。

「早く言えよ。俺、さっさと帰りたいんだけど」
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