泡のような世界で君と恋をする

第1話 沈む

 その海域には、赤いロープが張られていた。

 立ち入り禁止。
 そう書かれた看板は錆びついていて、注意を促すというより、長い間誰にも顧みられていない印象だった。

 夜の海は静かすぎた。
 波の音も小さくて、まるで何かを待っているみたいで。

 どうして、そこに近づいてしまったのか。
 理由は分からない。ただ、気づいた時にはロープの内側に足を踏み入れていた。

 次の瞬間、足元が崩れた。

 ――落ちる。
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