泡のような世界で君と恋をする
力を入れると、締めつけが強くなる。
逃げようとする意思そのものを拒絶する拘束。

(……動けない……)

心臓が早鐘を打つ。
理解が追いつく前に、恐怖だけが先に膨らんだ。

「目を覚ましたか」

低く、感情のない声が響く。

影の中から、ひとつの存在が姿を現した。
人の形をしている。だが、人ではない。
肌は白く、光を反射しない。

目は深い海の色で、
覗き込むと、吸い込まれそうになる。

「……だれ……?」

喉が乾き、声は掠れた。
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