泡のような世界で君と恋をする

第8話 帰還

暗い中。
私の胸の奥が、確かに熱を帯びていた。

(……来た……)

理由は分からない。
音も、声も、気配すらないのに――そうだと分かる。

手首と足首を縫い止める光が、心臓の鼓動に合わせて、微かに脈打った。
逃げようとすれば拒まれる拘束。
けれど今は、拒絶ではない。

“呼応”。

(……聞こえる……)

それは言葉ではなく、感覚だった。
自分がここにいるという事実が、どこかへ伝わっている。
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