鈴村君の裏の顔
言葉は柔らかい。
でもその奥にある独占欲は、
隠しきれていなかった。
……え?
私は……
戸惑いながら二人を見比べる。
なんで、そんな言い方……?
私……そんなに料理得意じゃないよ?
隆二
「そんなこと言うと」
「三上さん、反応に困るだろ?」
隆二は、慌てて会話の間に入った。
隆二
「まあまあ、優希。」
「順番とか決めなくていいだろ?」
隼人
「隆二の言う通りだ。」
「順番の話じゃねぇ。」
隼人の声が、低くなる。
「俺は……」
そこまで言いかけて、
言葉を止めた。
優希と視線が交わる。
俺と優希の間に、
見えない火花が確かに散っていた。
みんなは、残さずご飯を食べてくれて
私は食器を片付け終えた。
時計を見ると、すでに21時を回って
いる。
流石に帰らないと……
望愛
「……それじゃ」
望愛はエプロンを外し、
丁寧に畳みながら言う。
望愛
「今日はこれで失礼します。」
翔太
「三上さん本当、」
「ありがとうね。」
「ご飯、美味かった。」
森下君は、ニコリと笑顔を向けて
私に感謝の言葉をくれた。
隆二
「また頼むわ。」
宮部君もニコリと笑顔を向けて
軽く手を振った。
優希
「望愛ちゃんお疲れ。」
「今日、沢山の家事と料理ありがとう。」
優希君は、
何故か少し名残惜しそうに微笑む。
私は皆にお辞儀をした後
玄関に向かおうとした、
その時……
隼人
「望愛、待て。」
低く、はっきりした声。
隼人君だった。
望愛
「はい。」
隼人
「もう夜だろ。」
「駅まで送る。」
望愛
「え……?」
望愛は驚いて振り返る。
望愛
「い、いえ、大丈夫ですよ。」
「慣れてますし……」
隼人
「却下。」
隼人君は即答だった。
隼人
「俺が送ると言ってるんだ。」
「言うこと聞いとけ。」
有無を言わせない口調。
でも、そこに嫌な圧はなくて……
……なんで、この人の言い方俺様なのに
なんで……逆に安心するんだろ……。
隼人
「ちょっと待ってろ!」
そう言って、
隼人は自分の部屋へと戻っていった。
私がそんな隼人君を見ていると、
優希君が私の顔をじっと見てくる。
なっ……なんだろ……
私の顔に、何か付いてるのかな?
優希
「望愛ちゃん……」
望愛
「はっ……!」
「はい!!」
優希
「俺も、送って行くよ。」
いやいや……国民スーパーアイドルに
そんな事させられないよ。
隼人君は……断ったって絶対送ると
強引になるから、
最初から私は、諦めて素直に気持ちを
受けっとたけど、優希君にまで
迷惑かけられないよ。
望愛
「優希君、大丈夫です。」
「明日、優希君お仕事ですよね?」
「私の事はお気になさらず。」
えっ……俺……断られた?
なんで……なんで隼人は良いの?
俺だって……心配だし。
優希
「なんで……隼人は良いの?」
あっ……つい口に出してしまった。
しまった……絶対、望愛ちゃんが困る
やつじゃん。