鈴村君の裏の顔
優希
「隼人の隣にいるの見てて……」
「笑ってるの見てて……」
「……それだけで、」
「胸が締め付けられる。」
自分の胸元を無意識にぎゅっと掴む。
優希
「独占したいなんて」
「思っちゃいけないって分かってるのに……」
「独占欲の塊がどんどん大きくなる。」
俺の声が、震えた。
そして、何とも言えない声で
漏らす。
優希
「欲が、抑えられないんだ。」
しばらくの沈黙のあと、ぽつりと続ける。
優希
「翔太、隆二……」
「……実はさ……」
視線を落としたまま続けた。
そんな俺を、翔太と隆二は
黙って聞いてくれている。
優希
「望愛ちゃんとは、小学校の時」
「同じクラスだった。」
隆二
「え!?」
「何、その漫画みたいな展開。」
隆二が目を大きくして見開く。
翔太も、驚いたように瞬きをする。
優希
「だろ?俺もびっくりなんだ。」
「望愛ちゃんは俺の……」
「初恋だった。」
俺は、自嘲気味に笑う。
優希
「その時はさ、」
「ただ一緒に話すだけで嬉しくて。」
「名前呼ばれるだけで、」
「胸がドキドキしていっぱいになってた。」
翔太
「甘酸っぱいな。」
優希
「でも……」
「小学校6年生に上がったと同時に、」
「俺が引越しをして自然に終わった。」
一瞬、言葉を区切る。
優希
「だから……」
「もう終わった恋だって、」
「ずっと思ってた……」
拳を、ぎゅっと握る。
優希
「……なのに」
「久しぶりに会って……」
脳裏に浮かぶのは、
料理を運ぶ横顔、
笑った時の目元。
愛おしいくて愛おしいくてたまらない。
優希
「また、好きになってしまった。」
はっきりとした声だった。
優希
「前より、ずっと……」
「好きって気持ちが、」
「勝手に膨らんでしまう。」
隆二は、
なにも言わず目を瞑って聞いて
くれていた。
翔太も、静かに目を伏せて聞いて
くれている。
優希
「隼人がライバルの相手だってことも」
「簡単じゃないってことも」
「全部、分かってる。」
優希は、
再び閉まったドアを見る。
優希
「……それでも」
「さっき、”行くな”」
「とは言えなかった。」
そう呟いてから、ぽつりと本音を落とす。
優希
「優しくしたいのに」
「望愛ちゃんを心を奪いたくなる」
「気持ちが剥き出しになってしまう。」
その矛盾が、俺を追い詰めていた。
俺は何も言わず、
閉まったドアを見つめていた。
……行くな、とは言えなかった。
胸の奥が、ざわざわと波立つ。
そして俺の言葉が落ちて、
玄関に静寂が戻る。
閉まったドアの向こうには、
もう望愛ちゃんはいない。
それでも俺は、
まだそこに彼女がいるみたいに
視線を外せずにいた。
翔太
「……優希……」
最初に口を開いたのは、
翔太だった。
声は柔らかいが、
逃げ道を与えない真っ直ぐさがあった。
優希
「優希の恋は良い恋だな。」
「それに……」
俺は翔太の言葉を聞き、
はっとして翔太の方に振り返る。
翔太
「独占欲も、」
「苦しくなるのも、」
「奪いたいって思うのも、」
翔太は、少し苦笑して肩をすくめた。
翔太
「全部、普通の事だ。」
優希
「……普通?」
翔太
「うん、そう。」
「好きな人を本気で想ったら、」
「綺麗な気持ちだけじゃ済まない……」
翔太は一歩近づき、
俺の目をまっすぐ見る。
翔太
「それを“汚い”って思って、」
「自分を責めてる顔してる。」
「でも……汚くなんてないんだよ。」
「優希の純粋な気持ちを、」
「自分が一番、大事にしてやらないと」
「可哀想だろ?」
「隼人の隣にいるの見てて……」
「笑ってるの見てて……」
「……それだけで、」
「胸が締め付けられる。」
自分の胸元を無意識にぎゅっと掴む。
優希
「独占したいなんて」
「思っちゃいけないって分かってるのに……」
「独占欲の塊がどんどん大きくなる。」
俺の声が、震えた。
そして、何とも言えない声で
漏らす。
優希
「欲が、抑えられないんだ。」
しばらくの沈黙のあと、ぽつりと続ける。
優希
「翔太、隆二……」
「……実はさ……」
視線を落としたまま続けた。
そんな俺を、翔太と隆二は
黙って聞いてくれている。
優希
「望愛ちゃんとは、小学校の時」
「同じクラスだった。」
隆二
「え!?」
「何、その漫画みたいな展開。」
隆二が目を大きくして見開く。
翔太も、驚いたように瞬きをする。
優希
「だろ?俺もびっくりなんだ。」
「望愛ちゃんは俺の……」
「初恋だった。」
俺は、自嘲気味に笑う。
優希
「その時はさ、」
「ただ一緒に話すだけで嬉しくて。」
「名前呼ばれるだけで、」
「胸がドキドキしていっぱいになってた。」
翔太
「甘酸っぱいな。」
優希
「でも……」
「小学校6年生に上がったと同時に、」
「俺が引越しをして自然に終わった。」
一瞬、言葉を区切る。
優希
「だから……」
「もう終わった恋だって、」
「ずっと思ってた……」
拳を、ぎゅっと握る。
優希
「……なのに」
「久しぶりに会って……」
脳裏に浮かぶのは、
料理を運ぶ横顔、
笑った時の目元。
愛おしいくて愛おしいくてたまらない。
優希
「また、好きになってしまった。」
はっきりとした声だった。
優希
「前より、ずっと……」
「好きって気持ちが、」
「勝手に膨らんでしまう。」
隆二は、
なにも言わず目を瞑って聞いて
くれていた。
翔太も、静かに目を伏せて聞いて
くれている。
優希
「隼人がライバルの相手だってことも」
「簡単じゃないってことも」
「全部、分かってる。」
優希は、
再び閉まったドアを見る。
優希
「……それでも」
「さっき、”行くな”」
「とは言えなかった。」
そう呟いてから、ぽつりと本音を落とす。
優希
「優しくしたいのに」
「望愛ちゃんを心を奪いたくなる」
「気持ちが剥き出しになってしまう。」
その矛盾が、俺を追い詰めていた。
俺は何も言わず、
閉まったドアを見つめていた。
……行くな、とは言えなかった。
胸の奥が、ざわざわと波立つ。
そして俺の言葉が落ちて、
玄関に静寂が戻る。
閉まったドアの向こうには、
もう望愛ちゃんはいない。
それでも俺は、
まだそこに彼女がいるみたいに
視線を外せずにいた。
翔太
「……優希……」
最初に口を開いたのは、
翔太だった。
声は柔らかいが、
逃げ道を与えない真っ直ぐさがあった。
優希
「優希の恋は良い恋だな。」
「それに……」
俺は翔太の言葉を聞き、
はっとして翔太の方に振り返る。
翔太
「独占欲も、」
「苦しくなるのも、」
「奪いたいって思うのも、」
翔太は、少し苦笑して肩をすくめた。
翔太
「全部、普通の事だ。」
優希
「……普通?」
翔太
「うん、そう。」
「好きな人を本気で想ったら、」
「綺麗な気持ちだけじゃ済まない……」
翔太は一歩近づき、
俺の目をまっすぐ見る。
翔太
「それを“汚い”って思って、」
「自分を責めてる顔してる。」
「でも……汚くなんてないんだよ。」
「優希の純粋な気持ちを、」
「自分が一番、大事にしてやらないと」
「可哀想だろ?」