鈴村君の裏の顔


「うん!」
「丁度、喉乾いてたの!」

こうして、私達は並んで歩く。

本屋を出ると、
太陽の光が少し柔らかく見えた。

優希君は歩幅を私に合わせてくれている。


優希君ってやっぱり優しいなぁ。

近くのカフェが意外と空いていて
待たずに店内に入れた。

ただ、優希君変装はしているけれど
逆に目立って、
MOONの優希だと気付かれないか
心配で私はドギマギしていた。


カフェで向かい合って座る。

帽子を深くかぶり直す優希君。


「望愛。」

不意打ちに呼び捨て。
きっ……急に!?
あまりにも不意打ちすぎて、
私はドキッと胸が跳ねた。


「え!?」


「敬語出てない。えらい。」

そんなことで褒められても。

なのに、ちょっと嬉しい。

「今日さ……」


優希はストローを掴みくるくる
回しながら言う。


「望愛に会えてよかった。」

まっすぐな視線。

私は少し照れて笑う。


「私も!」
「本当、偶然だったね。」


「うん。でも偶然って、」
「わりと運命に近いよね。」

さらっと言う。

私はその言葉を軽く受け取る。


「大げさだよ(笑)。」

そう言って望愛は無邪気に笑う。

本当……鈍感。


俺はそれに対してはさく笑うだけだった。

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