鈴村君の裏の顔

第7話 隼人君が極甘すぎる!


優希君と“お試し恋人”になって、
三日が過ぎた。
たったそれだけの時間なのに、
私の日常は少しずつ形を変えていた。

あれから毎日、優希君とはLINEをしている。
他愛もない内容が多いのに、
不思議と会話は途切れない。

今日の天気の話、仕事の合間の愚痴、
大学であった小さな出来事。

それだけなのに、
画面の向こうにいる優希君の存在が、
いつの間にか当たり前みたいになっていた。

――今日なんて。

朝、何気なく「おはよう」
と送っただけなのに。

数秒後、
スマホが震えて、表示されたのは
優希君からの着信。



《おはよ。今、声聞きたくなって。》

そんな理由で電話をかけてくるなんて、
少しずるいと思う。

まだ眠たそうな声で、
《ちゃんと朝ごはん食べた?》
なんて聞かれて、
それだけで胸がじんわり温かくなった。

前日、バラエティ番組の収録が押して
寮に着いたのは深夜0時を回っていた。
そんな大変な仕事だったのに、
わざわざLINEで「おやすみ」の
メッセージが朝起きた時には既に送られていた。


そして、今日の朝の電話は、
ほんの数分の会話。
それでも、
その余韻は昼になっても残っていた。




──大学の昼休憩


昼休憩。
今日は由佳と、他の友達二人、
そして私の四人で、学内のカフェで
ランチを取ることになった。

カフェは相変わらず賑やかで、
笑い声と食器の音が混ざり合っている。

私がレモンティーを一口飲んだ、
その時だった。

友達A
「ねえ、望愛ってさ。」

向かいに座る友達が、
興味津々といった顔で身を乗り出す。

「彼氏作らないの?」
「それとも、もう好きな人いるの?」


――ブッ!!

危うく、レモンティーを吹き出すところだった。

望愛
「ちょ、ちょっと……!」
「急に何!?」

私は慌てて口元を押さえ、
咳き込みながら首を振る。

望愛
「い、いないよ。そんなの……」

言葉を濁した私を見て、
由佳がすぐに助け舟を出してくれる。

由佳
「望愛はね、恋愛に興味薄めだからね。」
「今は大学生活満喫中なんだよね?」


望愛
「あっ……う……うん!」

由佳、ありがとう……助かる。


友達A
「えー、もったいない!」


そんな声が飛び交う中、
私はただ、曖昧に笑う事しかできなかった。


優希君との“お試し交際”の事を、
ここで話す勇気なんて、まだない。
って言うか……絶対話してはならない。
大変な事になっちゃう。

話題は自然と切り替わる。


友達B
「そういえばさ!」

別の友達が、急に声を弾ませた。

友達B
「最近、人気モデルのYAMATOが」
「仕事落ち着いて、」
「授業ちゃんと出てるらしいよ!」

その名前に、私は首を傾げる。


YAMATO?
初めて聞く名前……
と言うか、この大学に芸能人居たんだ。

望愛
「……誰?」

私のその一言がよほど驚愕だったのか
三人が一斉にこちらを見る。
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