鈴村君の裏の顔
友達A
「えっ!?うそでしょ!?」
「望愛知らないの!?」
友達B
「そんな事ある!?」
由佳
「超有名人だよ!」
口々に言われて、
ますます分からなくなる。
友達A
「ここの大学一年で、」
「モデルも俳優もしてて、」
「家族も芸能人で芸能一家の」
「超売れっ子!」
友達B
「昨日たまたま同じ授業だったんだけど、」
「生のYAMATO見た瞬間、」
「言葉出なかったもん!」
熱量の違いに、
私はただ苦笑いするしかなかった。
――芸能人に、あまり興味がない。
そんな私にとって、
その名前はただの“噂話”でしかなかった。
そんな噂話を私は相槌をしながら
聞いていたその時……。
「きゃーっ!」
「かっこいい!」
私達の後ろから、
女子の高い悲鳴が聞こえた。
ざわっと、
カフェの空気が一瞬で変わる。
周りのみんながザワザワと騒ぎ
出す。
何事かと思って振り返った、
その瞬間……
私達のすぐ後ろに、
数人の男の人立っていた。
その中心にいるのが、
さっき話題に出ていたYAMATOだと
言われなくてもすぐにわかった。
オーラが格別すぎて目立つ。
整いすぎている顔立ちに高身長。
圧倒的な存在感。
周囲の女子たちが、
息を呑むのも無理はない。
YAMATOは、軽く笑って言った。
YAMATO
「ねぇ、君達。」
「今、僕の話してたよね?」
場が一気にシーンっと静まり返る。
YAMATO
「よろしくね。」
そう言って、
私の友達全員に視線を配った後、
なぜか、YAMATOの目が、
私の顔で止まったような気がする……
って言うか……見られてる!?
私は特に何も思わず、
ぺこりと淡々と会釈をする。
特に何も思わない……
興味がない、ただそれだけだった。
けれど……
その反応が、
逆に彼の目を引いたらしい。
YAMATOと言う人は、
少しだけ身を屈めるようにして、
私の顔を覗き込む。
望愛
「えっ!?」
YAMATO
「……へぇー。」
低く、意味深な声。
そして、
私にだけ、もう一度近付いて……
YAMATO
「よろしくね。」
「僕と仲良くしよう。」
そう囁いて、
YAMATOと言う人は友達を連れて、
何事もなかったかのように
カフェを去って行った。
残された私達は、しばらく言葉を失っていた。
……何だったんだろう。
そう思いながらも、なぜか胸の奥が、
少しだけざわついていた。
――この時はまだ。
この出会いが、あんな形で
隼人君と優希君
の感情を揺らすことになるなんて。
私は、知る由もなかった。
YAMATO達の
背中がカフェの出口に消えた瞬間。
友達B
「……え?」
静寂を破ったのは、
さっきまで言葉を失っていた友達の声だった。
友達B
「ちょっと待って……今の見た?」
友達A
「見た見た見た!!」
由佳
「ちょっと!あれは破壊力えぐい!」
次の瞬間、
三人が一斉に私を見る。
友達A
「ねえ、望愛!!」
「なんで望愛だけ覗き込まれてたの!?」
友達B
「普通さ、全員に軽く挨拶して」
「終わりだよ!?」
「あれ完全に特別対応じゃん!!」
由佳までもが目をキラキラ
させながら身を乗り出して言ってくる。
由佳
「え、やば……すぎない!?」
「望愛、どうすんの!?」
「今の完全に“気に入られた”やつじゃん!」
友達A
「そうそう!」
「しかもさ、 あの距離感!!」
友達B
「仲良くしよう、って」
「YAMATO囁いてたよね!?」
「あれ、囁きだよね!?」
口々に飛び交う言葉に、
私はただ困惑するばかりだった。
望愛
「え、いや……別に何も……」
「深い意味はないと思うんだけど。」
由佳・友達A・B
「いやいやいや!」
「何もない人にあんな」
「覗き込み方しないから!」
三人共同時に私に言い放つ。
そして由佳は、
顎に手を当てて、妙に真剣な顔になる。
由佳
「……望愛さ、」
「無自覚なの自覚した方がいいよ。」