鈴村君の裏の顔
友達B
「望愛の無自覚は今始まった事じゃ」
「ないけど、あれはヤバいよね。」
「しかも相手、YAMATOだよ?」
友達A
「しかも人気モデルで、」
「大学の王子様だよ?」
ちょっと……私、無自覚なの?
何が無自覚なのかさっぱりなんだけど……。
みんなが言うんだから、やっぱり私は
何か違うのかな……
そんな事を悶々と考えていると……
次々に畳みかけられて、
私は思わず視線を逸らした。
望愛
「だから……」
「本当に分からないんだってば!……」
胸の奥が、少しだけ落ち着かない。
でも、それは
YAMATOって人のせいなのか、
それとも……
ふと、優希君の声が頭をよぎった。
*大和 side*
僕の名前は、岡崎 大和。
芸名は YAMATO。
大学では一応、普通の一年生。
……とはいえ、
モデルと俳優の仕事をしているせいで、
”普通”とは少し違う立場にいる。
最近は仕事が立て込んでいて、
大学に顔を出すのも久しぶりだった。
だから今日、
キャンパスに足を踏み入れた瞬間、
あの空気がやけに懐かしく感じられた。
――でも。
今日の僕にとっての”久しぶり”は、
大学だけじゃなかった。
あの日のことは、
正直、今でもはっきり覚えている。
少し前、
とある雑誌の撮影で使われていた
スタジオビル。
俺は スタジオC、
別フロアでは人気グループ MOON が
スタジオA で撮影をしていた。
問題は――
僕が、完全にスタジオを間違えたことだ。
……あれ?
ドアを開けた瞬間、
明らかに雰囲気が違うと気付いた。
照明。
カメラの数。
スタッフの多さ。
そして、
そこに立っていたのは――
MOONのメンバー。
慌てて引き返そうとした、その時。
……なぜか、
視線が一箇所に吸い寄せられた。
大勢のスタッフの中に、
一人だけ……
派手な服でもなく、
前に出ているわけでもない。
それなのに。
彼女は──キラキラしていた。
誰かの後ろに立ちながら、
手際よく動いて、自然に笑って。
笑顔が魅力的に映っていた。
MOONのメンバーと、
まるで昔から知っているみたいに
親しげに話している。
「……誰だ、あの子」
そう思った瞬間、小さく呟いていて
もう目が離せなくなっていた。
すると、
近くにいたスタッフ達の
ひそひそ声が耳に入った。
「ねぇ、あの子……」
「Skyプロダクションの社長、」
「三上紗衣の妹なんだって。」
「え、そうなの!?芸能人じゃないの?」
「今は裏方の手伝いらしいよ。」
その噂話を聞いた瞬間、
胸の奥が、少しざわついた。
社長の妹…
しかも、今ものすごく勢いのある
Skyプロダクションの社長の妹……。
でも、前に出るわけでもなく、
自然体で、そこにいる。
……不思議な子だ。
それが…
俺の中に残った最初の印象だった。
名前も知らないまま。
そして今日……
久しぶりに来た大学で、
昼休憩を友達と一緒に大学内の
カフェに行く事になり、足を運んだ。
周囲が、やけにざわついていた。
きっと、僕の事、噂してるのだろうと
あまり気にはなかった。
カフェの中に入ると、案の定……
僕の話しで周囲の女子達はざわついて
いた。
久しぶりに講義を受けたからだろう。
「……?」
何事かと思って視線を向けると、
女子の集団の中に――
いた。
一瞬で分かってしまった。
「……あ。」
あの日、
スタジオで見た、
あの“キラキラしたスタッフ”。
同じ人だ。
でも今は、
大学生らしい服装で、
友達と楽しそうに話している。
――やっぱり、目立つ。
「ん?」
「大和どした?」
「いや…なんでもない。」
僕は……
周囲に営業スマイルを見せながら手を振り、
無意識の内に彼女の居るグループに近付いた。
「望愛の無自覚は今始まった事じゃ」
「ないけど、あれはヤバいよね。」
「しかも相手、YAMATOだよ?」
友達A
「しかも人気モデルで、」
「大学の王子様だよ?」
ちょっと……私、無自覚なの?
何が無自覚なのかさっぱりなんだけど……。
みんなが言うんだから、やっぱり私は
何か違うのかな……
そんな事を悶々と考えていると……
次々に畳みかけられて、
私は思わず視線を逸らした。
望愛
「だから……」
「本当に分からないんだってば!……」
胸の奥が、少しだけ落ち着かない。
でも、それは
YAMATOって人のせいなのか、
それとも……
ふと、優希君の声が頭をよぎった。
*大和 side*
僕の名前は、岡崎 大和。
芸名は YAMATO。
大学では一応、普通の一年生。
……とはいえ、
モデルと俳優の仕事をしているせいで、
”普通”とは少し違う立場にいる。
最近は仕事が立て込んでいて、
大学に顔を出すのも久しぶりだった。
だから今日、
キャンパスに足を踏み入れた瞬間、
あの空気がやけに懐かしく感じられた。
――でも。
今日の僕にとっての”久しぶり”は、
大学だけじゃなかった。
あの日のことは、
正直、今でもはっきり覚えている。
少し前、
とある雑誌の撮影で使われていた
スタジオビル。
俺は スタジオC、
別フロアでは人気グループ MOON が
スタジオA で撮影をしていた。
問題は――
僕が、完全にスタジオを間違えたことだ。
……あれ?
ドアを開けた瞬間、
明らかに雰囲気が違うと気付いた。
照明。
カメラの数。
スタッフの多さ。
そして、
そこに立っていたのは――
MOONのメンバー。
慌てて引き返そうとした、その時。
……なぜか、
視線が一箇所に吸い寄せられた。
大勢のスタッフの中に、
一人だけ……
派手な服でもなく、
前に出ているわけでもない。
それなのに。
彼女は──キラキラしていた。
誰かの後ろに立ちながら、
手際よく動いて、自然に笑って。
笑顔が魅力的に映っていた。
MOONのメンバーと、
まるで昔から知っているみたいに
親しげに話している。
「……誰だ、あの子」
そう思った瞬間、小さく呟いていて
もう目が離せなくなっていた。
すると、
近くにいたスタッフ達の
ひそひそ声が耳に入った。
「ねぇ、あの子……」
「Skyプロダクションの社長、」
「三上紗衣の妹なんだって。」
「え、そうなの!?芸能人じゃないの?」
「今は裏方の手伝いらしいよ。」
その噂話を聞いた瞬間、
胸の奥が、少しざわついた。
社長の妹…
しかも、今ものすごく勢いのある
Skyプロダクションの社長の妹……。
でも、前に出るわけでもなく、
自然体で、そこにいる。
……不思議な子だ。
それが…
俺の中に残った最初の印象だった。
名前も知らないまま。
そして今日……
久しぶりに来た大学で、
昼休憩を友達と一緒に大学内の
カフェに行く事になり、足を運んだ。
周囲が、やけにざわついていた。
きっと、僕の事、噂してるのだろうと
あまり気にはなかった。
カフェの中に入ると、案の定……
僕の話しで周囲の女子達はざわついて
いた。
久しぶりに講義を受けたからだろう。
「……?」
何事かと思って視線を向けると、
女子の集団の中に――
いた。
一瞬で分かってしまった。
「……あ。」
あの日、
スタジオで見た、
あの“キラキラしたスタッフ”。
同じ人だ。
でも今は、
大学生らしい服装で、
友達と楽しそうに話している。
――やっぱり、目立つ。
「ん?」
「大和どした?」
「いや…なんでもない。」
僕は……
周囲に営業スマイルを見せながら手を振り、
無意識の内に彼女の居るグループに近付いた。