君に捧げるアイラブユー



教室まで迎えに行くって言われたときは、一瞬ほんとにそれでいいのかなって思ったけど、さすがにそれは違う気がした。東と一緒に教室から出てくるとか、そんなの絶対に無理だ。視線が集まるとかそういう問題じゃなくて、私の心が耐えられない。


だから「ここでいい」って言ったのに、その選択が正しかったのかどうかも分からなくなって、結局また同じところをぐるぐるしてる。


私は壁に背中を預けて、落ち着かない指先で髪の毛をくるくるといじる。意味もなく結んでみたりほどいてみたりして、動かしてないと心臓の音に意識が全部持っていかれそうだった。


ねえ東、今なにしてるの。ほんとに来るのかな。来るって言ったのに来なかったらどうしようとか、そんな最悪の想像まで勝手に浮かんでくるのが嫌になる。


結局、東は何に対して不機嫌だったんだろう。あの朝の空気、あのちょっとだけ刺々しい声、いつもと違う距離感。全部思い出そうとするのに、ちゃんとした答えだけが抜け落ちてるみたいで気持ち悪い。


なんで一緒に帰ろうなんて言ってきたんだろう。“天馬だけ、ずるいよ”なんて、あの言葉もずっと引っかかってる。


ずるいってなに。何が。私が北見といたこと?それとも、私が何かした?それともただの冗談?


考えれば考えるほど分からなくなるのに、分からないふりをしてる自分もいる気がして余計に嫌になる。

だって本当は少し分かってるから。東の言葉って、いつも優しくて、いつも曖昧で、その曖昧さのせいで私が勝手に期待してるだけだってことも。


でも、それをちゃんと認めるのが怖い。認めたら終わってしまいそうで。勘違いしたくないって思ってるのに、いちばん勘違いさせてくるのは東で、しかもそのくせ何も言わないからずるい。


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