君に捧げるアイラブユー
でも──その“人たらし”なところに、私もちゃんと落ちてる。
結局それが一番否定できない事実で、悔しいけど、好きになった理由の一つでもある。
「好きになったきっかけって、なんだったっけ」
三木はまだ窓の外に向かって手を振りながら、何気なくそう言った。
好きになったきっかけ。
私は少しだけ視線を落として、無意識に指先を制服の袖に触れさせる。
東と出会ったのは去年の春。高校一年生のとき。
三木とはクラスが違って、私は二組。東と北見も同じ二組だった。
最初はただのクラスメイト。特別でもなんでもなかったはずなのに、気づいたら視界に入る回数が増えていった。特に何かされたわけじゃない。ただ、なんとなく目がいってしまう存在だった。
クラスには中学からの友達もいて、居場所に困ることなんてなかったはずなのに、それでも一つだけ、ずっと心のどこかに引っかかっていたものがある。
『すぐりって、好きな子いないの?』
そんな軽いノリの質問に対して、私はいつも決まってこう答えていた。
『えー…恋愛とか、まだよく分かんなくて…』
嘘じゃない。嘘じゃないけど、本当でもない。アイドルは好きだし、俳優さんで「かっこいいな」と思う人もいる。でも現実は別だった。
画面の中の“かっこいい”は素直に受け取れるのに、現実の“かっこいい”はなぜか違う。