君に捧げるアイラブユー
山道へ足を踏み入れると、木々の間から差し込む朝の日差しが眩しい。鳥の鳴き声が聞こえる。土の匂いがする。周りでは友達同士の笑い声が飛び交っている。
毎年開催されているらしい二年生の恒例行事。山を登りながらゴミを拾って、頂上でカレーを作るという、先生たちからしたら「自然に親しみながら協力する素晴らしい行事」らしいけれど、生徒からしたら正直面倒なだけだ。
案の定、周りからは「めんどくせー!」「なんで遠足でゴミ拾いなんだよ」「普通に遊ばせろよー」なんて不満の声が聞こえてくる。
みんなぶつぶつ文句を言いながらも、しぶしぶトングを動かしていた。私だって、いつもだったら同じことを思っていたはずだ。
山登りなんて面倒だし、ゴミ拾いなんてもっと面倒だし、カレー作りだって別にそこまで興味ない。普段の私だったら、「やってられるか!」って誰よりも文句を言っていたと思う。
でも今日は違う。全然違う。だって東がいるから!それだけでこの遠足は特別なイベントになる!
単純だなって自分でも思うけれど、好きな人がいるだけで世界って本当に変わるんだなって最近よく思う。
面倒だったはずの山道も、重かったはずの足取りも、今日はなんだか軽い。むしろもっと長く歩いていたいくらいだった。東に会える可能性があるなら、何時間だって歩ける気がする。
そんなことを考えながら歩いているうちに、あっという間に15分ほどが過ぎた。
「そろそろ3組来るんじゃない?」
三木が後ろを見ながら言う。その言葉に私の心臓が一気に跳ね上がった。