君に捧げるアイラブユー



私はぎゅっとトングを握りしめた。大丈夫。まだ何も決まったわけじゃない。勝手に落ち込むのはよくない。そう言い聞かせる。


でも胸の奥に広がったモヤモヤは消えないままで、山道を登りながらも私は何度も何度もさっきの光景を思い出してしまうのだった。

東の腕にしがみつく南野さんと、困ったようにため息をつく東。

その二人の距離だけが、やけに鮮明に頭の中へ残り続けていた。


なんとか目的地にたどり着くと、すでに到着していた班があちこちでカレー作りを始めていた。

薪を組んで火を起こしている班もあれば、野菜を切り始めている班もある。

広場には楽しそうな声が飛び交っていて、カレーの匂いこそまだしないけれど、これから始まる行事のわくわくした空気が漂っていた。

でも私はそんな周りの様子をほとんど見ていなかった。頭の中にあるのは、さっきからずっと同じことばかり。南野さんのこと。東のこと。あの二人の距離感のこと。



「私、鍋とか取ってくるね」



班のみんなにそう言うと、「お願いー」と軽い返事が返ってくる。その中で三木だけがじっと私を見ていた。



「……大丈夫?」



その一言に、私は少しだけ苦笑いする。やっぱり気付かれてた。ここに来るまで、私はほとんど喋っていなかったから。普段なら東の話をして騒いでいるはずなのに、ずっと黙り込んでいたから。


大丈夫だよ!とできるだけ明るく笑うと、三木は「ならいいけど」とだけ言った。本当にいい友達だなと思う。


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