君に捧げるアイラブユー
……今は一人になりたかった。少しだけ考えたかった。
私は足早に調理器具が置いてあるテントへ向かう。
一人になりたい。少しだけ静かになりたい。そう思っていたのに――。
「……あ」
思わず足が止まる。先客だ。しかも、一番会いたかった人。東だった。
テントの中でしゃがみ込み、並べられた鍋を真剣な顔で見比べている。大きさが微妙に違うらしく、あれこれ持ち上げては首を傾げていた。その横顔を見た瞬間、胸の奥でぐちゃぐちゃになっていた感情が少しだけ静かになる。
さっきまであんなにモヤモヤしていたのに。不思議だ。東を見るだけで、こんなにも落ち着くなんて。
「……東」
小さく名前を呼んで、東の隣にしゃがみ込んだ。肩が少し近い。
東がこちらに顔を向けて、私を見るなり、ふっと笑った。
さっきぶりと、笑う顔に胸がきゅっとなる。
柔らかくて、優しくて、見慣れているはずなのに何度見ても好きになってしまう笑顔だった。
ああ、やっぱり好き。
南野さんのことを考えて落ち込んでいたはずなのに、その顔を見ただけで全部吹き飛んでしまう。単純すぎる。情けない。でも好きなんだから仕方ない。
東が好き。どうしようもなく好き。