君に捧げるアイラブユー
その一言に、一瞬意味が分からなくて思わず顔を上げてしまった。どうでもいい、なんて言葉、東の口から出ると思ってなかった。
私に向けた言葉じゃないって分かってるのに、どこか冷たく突き放されたみたいで胸の奥がざわつく。
なんでそんなこと言うの、って言いたかったのに、その前に東が少しだけ視線を逸らして続ける。
「西宮が傘がないって知ってたら、迷わず西宮と帰ってた」
その言葉が落ちた瞬間、息が止まったみたいに喉が詰まる。
なにそれ。ずるい。そんなの、ずるいに決まってる。
でも東はたぶんそんなつもりじゃなくて、ただ事実を言ってるだけで、だから余計にたちが悪い。
勝手に意味を拾って、勝手に期待して、勝手に苦しくなってるのは私なのに。
「……でも、駅とは反対方向だよ。今だって、なんで東が一緒に帰ろうって言ってくれたのか分からない。遠回りになっちゃうのに」
気づいたらそんなことを言っていた。声が少しだけ震えてるのが自分でも分かる。
全部、わからない。東のことも、自分のことも、今の状況も、全部ぐちゃぐちゃで、どこをどう切り取れば正解なのかも分からない。