君に捧げるアイラブユー
「なに?」
東が少し笑う。
「西宮も名前で呼んでほしーの?」
その言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった。
……名前?私の?東が?私を?下の名前で?
一瞬で顔が熱くなる。そんなの想像したことなかったわけじゃない。むしろ何度もある。でも実際に本人から言われるのは違う。破壊力が違う。頭の中で東の声が再生される。
『すぐり』
だめだ。そんなの絶対無理。
頬がどんどん熱くなっていくのが分かる。隠そうとしても無理だった。私は慌てて両手で顔を押さえる。でも熱は隠せない。
「…………う、うん」
結局、小さく頷いてしまった。
…だって呼んでほしい。すごく呼んでほしい。東の口から自分の名前を聞いてみたい。
「…一回でいいから、呼んでほしー…」
東の前にいると、頭の中で考えていたはずの言葉が全部どこかに消えていく。
うつむいたままの視線をほんの少しだけ上げると、東は一瞬きょとんとしたあと、ふっと小さく笑った。
その笑顔だけでまた心臓が跳ねる。
お願いだからそんな顔しないで。これ以上好きになったら本当に困るのに。もう十分好きなのに。