君に捧げるアイラブユー
東は何でもないような顔で鍋を持って立ち上がる。
「西宮、行かないの?」
「あ、うん……」
慌てて私も立ち上がる。東が選んでくれた鍋を受け取ると、当然みたいにもう一つの鍋も持ってくれる。
いつも通りの優しさ。なのに、今日はそれが全然違って見えた。
ありがとう、って言いたかった。いつもなら、自然に笑って言えるはずなのに。口が動かなかった。喉の奥が詰まったみたいで、声が出ない。
さっきの言葉が頭の中で何度も繰り返される。
『好きとかそういうの、俺には分かんないわ』
分かんない。分からないって、どういうこと?恋愛感情がないってこと?それとも、まだ誰にも向けたことがないってこと?分からないから、誰に対しても同じってこと?
それとも――私はそのどれにも当てはめられない存在ってこと?
歩き出しながら、胸の奥がじわじわと苦くなっていく。
「……こんなの、告白以前の問題じゃん……」
もしかしたら、両想いかもしれないなんて。少しでも期待してしまった自分が恥ずかしい。