君に捧げるアイラブユー
東汀は、こういう人だ。
まず一つ目、問答無用で顔がいい。
北見のほうが派手に“整っている”と言われることはあっても、東には東の良さがあって、それは比較とか優劣じゃなくて、ただ単純に“目が離せない”という種類のものだった。
二つ目、コミュニケーション能力が高い。
誰とでも自然に話せるし、距離の取り方が上手い。気づいたら相手の警戒心をほどいているようなところがある。それは才能だと思う。
三つ目、誰よりも優しい。
これが一番厄介で、一番ずるいところだった。
誰に対しても優しいのに、その優しさがちゃんと“特別みたいに”感じてしまう瞬間がある。だから人たらしなんて言われるようになる。
納得できてしまうのが悔しいくらいに、そういう人だった。
最初は本当に、ただのクラスメイトだった。
むしろ“ちょっと気になる推し”くらいの軽さだったと思う。
恋愛経験なんてほとんどない私にとって、「好き」と「憧れ」と「なんとなく気になる」の違いなんて、正直よく分かっていなかった。
ドキドキも胸キュンも、物語の中だけのものだと思っていた。現実には存在しない感情だとすら思っていた。
なのに、ある日を境に、それは変わった。
東を、ただのクラスメイトとして見られなくなった瞬間が、確かにあった。