君に捧げるアイラブユー



助けてもらっておいて、何も言わずに帰るとか、そんなの絶対だめでしょって頭では分かってるのに、心がついてこない。

今さらどんな顔して会えばいいのか分からないし、さっきまで普通に話してたわけでもないのに、急に「ありがとう」だけ言いに行くのも不自然じゃない?って、どうでもいいことまで気になってしまう。


でも一方で、正直に言うと今は会いたくない気持ちもある。顔を見たら、また変に意識してしまいそうで怖い。

それなのに、会いたい気持ちがほんの少しだけあるのも否定できないのが一番厄介だ。

ほんの少しだけ、あのまま終わりにしたくないと思っている自分がいる。

私は履き替えたばかりの靴を、もう一度ぎこちなく履き直す。

何やってるんだろう私。

頭の中で何度も同じ言葉が回るのに、足だけは勝手に校内へ向かっていく。

教室、まだいるかな。いなかったらどうしよう、それはそれで安心するのに、でも少しだけがっかりする気もするのが自分でも面倒くさい。こんなお礼くらいでこんなに悩むなんて思ってなかった。

もしかしたら向こうはもう気にしてないかもしれないし、むしろ「今さら?」って思われるかもしれない。いや、実際私だって自分でそう思ってる。

なのに戻ってる私って何?


やっぱり私、東に会いたいんだなって思った瞬間、胸の奥がぎゅっと掴まれたみたいに苦しくなって、気づいたら泣きそうなのを必死にこらえながら階段を駆け上がっていた。


どうしてこんなに急いでるのか自分でも分からないのに、足だけが勝手に動いていく感じで、息が上がっているのに止まれない。


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