君に捧げるアイラブユー



そのとき、2階の一番端。人気の少ない空き教室から、確かに声が聞こえた気がした。



「私、やっぱり汀が好き」



その言葉を聞いた瞬間、頭の中が一瞬真っ白になった。


聞き間違えかと思いたかったのに、何度否定しようとしても、さっきの声の温度や響きが消えてくれない。


南野さんの声だって分かってしまった瞬間、余計に心がざわついた。


どうしてこんなところにいるの、なんで今、なんで東と一緒にいるの、そんな疑問が次々と浮かんでくるのに、どれも答えなんて出ない。


ただ、胸の奥がどんどん冷たくなっていくのが分かるだけだった。

こっそり聞き耳を立ててるなんて最低だって分かってるのに、体が動かない。

汗が止まらなくて、手のひらがじっとりと濡れて、心臓が嫌な音を立てているのが自分でも分かる。


東は…。東は今、どんな顔してるんだろう。


ちゃんと目を見てるのかな、それとも逸らしてるのかな、優しい顔してるのかな、それとも困ってるのかな、そんな想像ばかりが勝手に膨らんで、止められない。


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