君に捧げるアイラブユー



「凛音、俺…」



その声が聞こえた瞬間、胸が大きく跳ねた。聞きたかったのに、聞きたかったはずなのに、最後まで聞く勇気がなかった。


たった一言の途中で、体が勝手に反応していた。

気づいたら私は走り出していた。


扉の向こうに何があるのか分かっているのに、それを受け止める自信がどうしてもなかった。

駆け上がってきた階段を、今度はほとんど転がるみたいに駆け下りる。

息が乱れて、視界が揺れて、なのに涙だけはまだ落ちてこないのが余計に苦しい。



『好きとかそういうの、俺には分かんないわ』



東はそう言ってた。その言葉を思い出した瞬間、頭の中で何度も同じ音が反響する。


嘘はつかない人だって、ちゃんと知ってる。そういうところが好きだったはずなのに、今はそれが残酷にしか思えない。


それでも、聞きたくなかった。あの一言の続きも、その場の空気も、誰かの名前も、全部全部、知らないままでいたかった。


胸の奥がきしむみたいに痛くて、それでも私は止まれないまま、ただ逃げるように走った。


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