君に捧げるアイラブユー
確かにそうだ。南野さんからしたら、私が振られたほうが都合がいい。当たり前の話だ。
なのに不思議と嫌な気持ちはしなくて、むしろ少しだけ安心した。綺麗事じゃないから。同情じゃないから。ちゃんと本音でぶつかってくれているから。
「とにかく!」
南野さんは乱暴に涙を拭う。 目元は真っ赤だった。
「同じ人を好き同士として!その中途半端さは許せないから!」
吐き捨てるように言うと、南野さんは勢いよく立ち上がった。
スカートの裾が揺れる。足音が響く。 南野さんはそのまま、一度も振り返らずに階段を下りていく。
一人になった階段で膝を抱える。目の奥が熱くて、気付けば涙が溜まっていた。
南野さんの言葉が何度も頭の中を回る。
『告白もしないで諦めるなんて、私は絶対許さないから』
胸が苦しい。 苦しくてたまらない。
涙がぽたりと制服のスカートに落ちてきて、震える指で目元を拭った。
東。
もし私が、本当に気持ちを伝えたら。
あなたはどんな顔をするんだろう。迷惑そうに笑うのかな。困った顔をするのかな。
それとも、やっぱり何も分からないままなのかな。
分からない。 全然分からない。
だけど、一つだけ、今はっきり分かることがあった。
私はまだ、諦めきれていない。
好き、と伝えたい気持ちを諦めきれていないんだ。