君に捧げるアイラブユー
はあ、と大きくため息をつきながら、私は廊下に並ぶロッカーへと向かう。自分のロッカーの前でしゃがみ込み、ガチャガチャと教科書を探していると、ふいに頭上から声が落ちてきた。
「西宮」
「……!」
今さっき、考えていた人だ。というか、東のことを考えてない時間なんて、そもそもほとんどないのだけれど。
「どうしたの?」
東は隣にしゃがんで、私の顔を覗き込むみたいにしてそう聞いてきた。その距離が近くて、また心臓がうるさくなる。
何でもない顔をしようとしているのに、たぶん失敗している。
「ごめん。現文の教科書借りていい?今日休んでる友達に返してもらってなくて、教科書ねーの」
そう言いながら、東は軽く頭を下げた。顔の前で手を合わせて、申し訳なさそうに笑う。
借りパク。東の教科書を借りパク!?
「東も、返さなくていいよ。私のずっと持ってて」
何を言ってるんだ、私は。でも、東の手元に“私のもの”があるという事実が、たまらなく特別に感じてしまったから。
ロッカーから現代文の教科書を取り出して、東に差し出す。すると東は一瞬きょとんとしたあと、困ったように眉を下げた。