君に捧げるアイラブユー
「何言ってんの。終わったら、すぐ返しに来るから」
ちぇ。
「何その顔?」
東が笑いを含んだ声で言う。顔?今の私、そんなに分かりやすかった?
慌てて何でもない顔を作ろうとして、口角を上げる。
でも東は口元に手を当てて、小さく笑った。
なにその顔、はこっちのセリフだよ!かーわーいーいー。
絶対本人には言えない。そんなこと言ったら終わる。私の精神が終わる。
「俺がずっと持ってたら、西宮も困るでしょ」
「別に、困らないよ。人に借りるし」
そう言いながら、私はロッカーの中から数学の教科書と問題集を取り出した。
「何言ってんの。西宮に会いに来る口実だって、分かんない?」
横から聞こえてきたその言葉に、思わず東のほうに顔を向けた。
今の、何?口実?会いに来る?私に?
頭の中で言葉だけがぐるぐる回って、意味がちゃんと形にならない。
冗談?いつもの軽口?それとも本気?
どっちにしても心臓には悪すぎる。
「あのさ、東さ…」
ほんとにさ。どういう意味で言ってるの、それ?
喉の奥がひりつく。顔が熱い。絶対赤くなってる。
無駄にドキドキさせて、勝手に期待させて、勝手に舞い上がらせて、それで何もなかったみたいな顔をするのが一番ずるい。