君に捧げるアイラブユー



私は少し強めにロッカーを閉めた。カン、と乾いた音が廊下に響く。

東の顔を見ると、一瞬きょとんとしたあと、少し考えるように目線を宙に向けた。
そして唇をきゅっと結んで、



「…ん。まあ、そーだね。やめよう、こういうの」



なんだそれ!

そういうことじゃないだろうが!

叫びたい気持ちを必死に押し込める。表情が崩れないようにするだけで精一杯だ。



「そうじゃなくて!東に言われるのが嫌とかじゃなくてさっ」



気付いたら弁解していた。違う、そうじゃない。私が言いたいのはそういうことじゃないのに、どうして私はいつもこうなるんだろう。

何してんだ私…。

ダラダラと冷や汗が背中を伝うのが分かる。東は少しだけ黙っていたあと、膝に置いていた腕を伸ばして、ほんの少し俯いた。



「…うん」



うん、てなに。

それで終わり?と思った瞬間だった。

東がちら、と覗くように目線だけ上にあげる。そのまま至近距離で目が合った。心臓が一回、強く跳ねる。呼吸が止まる。

あ、無理だこれ。

思考が一瞬で真っ白になって、私は慌てて視線を逸らした。

ほらね、こういうところだ。

結局いつも、私だけが振り回されている。さっきまでの勢いも、言いたかったことも全部どこかに飛んでいく。

東は何も分かってない顔をしているのに、たったそれだけで全部持っていかれる自分が悔しい。

でも同時に、そのどうしようもなさすら少しだけ嬉しくて、余計に苦しくなる。もう、ずるいよ。


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