君に捧げるアイラブユー
たったそれだけの挨拶なのに、声を聞いただけで呼吸が浅くなる。東は何も変わらない顔をしているのに、私だけが勝手に緊張しているのが悔しい。
「ありがと」
そう言った東から教科書を受け取ると、私はしゃがんで自分のロッカーを開けた。
少しだけ渋りながら、丁寧にしまう。
あーあ、本当に。ずっと持っててくれてもよかったのに。
「帰ろっか」
私が立ち上がった瞬間、東がそう言った。
その一言で、さっきまで少し落ち着いていたはずの鼓動が一気に跳ね上がる。
どくん、と大きく鳴って、息が詰まる。比べ物にならないくらい速くなる心臓の音が、自分でも分かるくらい耳の奥で響いている。
昇降口を出てから思ったけれど、告白すると宣言したものの、告白って、どこでするの!?
場所も、タイミングも、空気感も、全部がふわっとしていて形になっていない。
さっきまで教室で「今日こそ言う」ってあんなに覚悟していたのに、いざ外に出たら現実が一気に押し寄せてきた。むしろ今このままだと、ただ東に家まで送ってもらって「結局何も言えませんでした」で終わる未来が鮮明に見える。
最悪すぎる。絶対それだけは嫌だ。