君に捧げるアイラブユー
ちら、と隣を歩く東を見る。
相変わらず何にも考えてなさそうな顔で、まっすぐ前を見ている。その横顔が落ち着いていて、余計に腹が立つくらいだ。
こっちは今、人生の一大イベント直前みたいな心境なのに、この人はたぶん「今日は暑いな」くらいしか考えてない。
私が今死ぬほど緊張してることなんて一ミリも想像してないんだろうな。
周りには同じ学校の制服を着た人たちがたくさんいて、部活帰りの笑い声とか、スマホを見ながら歩く姿とか、いつもの放課後の風景が広がっている。
……今日、言わないと。今日じゃないとだめだ。
今日を逃したら、きっと一生言えない気がする。
「……ねえ、東。ちょっとだけ寄り道しない?アイスでも食べようよ」
私は意を決して、東の制服の袖を軽く引いた。その瞬間、自分の心臓の音がやけに大きくなるのが分かる。
ドキ、ドキ、ドキ。
今の私、変じゃない?引かれた?そんな不安が一気に押し寄せるのに、東は何事もなかったみたいに止まった。
「いいよ、どこで食べる?」
あっさりとしたその返事に、一瞬だけ拍子抜けする。断られる可能性も考えていたから、こんなにすぐ受け入れられるなんて思っていなかった。
ホッとしたのか、逆に緊張が増したのか分からないまま、私は掴んでいた袖からそっと手を離した。