桐生くんには敵いません!
プロローグ
――夢を見た、小さい頃から繰り返し見る夢だ。
五歳くらいの私と、同じ年頃の狐面を付けた男の子。
神社の裏で膝を抱えてうなだれているのを、偶然見つけた私は彼に声をかけたんだ。
「ねえ、あなた稲荷神社のお狐様の子なの?」
「は……? 誰?」
「私? 福ちゃん」
「知らない……」
お面で顔は見えないけれど、鼻をすすってる音がした。
泣いているのかな?
「狐さん、どうしたの? なにか悲しいことがあったの?」
「……父さんと一緒に来たのに……いなくて」
「もしかして迷子になっちゃった?」
コクンとうなずいた彼は、うわあんと泣き始めちゃった。
どうしよう、こまったなあ、だって私も迷子だもん。
でも困っている人には親切にするのよってお母さんが言ってたから、なんとかしなきゃ!
「あのね、あのね、福ちゃん、いいもの持ってるの。狐さんにも一つあげるね?」
浴衣の袖に隠して家から二つ持ってきた大福を、一つあげる。
「福ちゃんのおうちは、望月和菓子店っていうの。これは、うちで作った大福なの。甘くて、とっても美味しいんだよ」
「大福の福……」
「うん、福ちゃんのほっぺは白くてまん丸で、もちもちした大福みたいねって、おばあちゃんが言ってた」
アハハと笑ったら、お狐様は手にした大福と私を見比べて「似てるかも」と少しだけ笑ってるみたい。
五歳くらいの私と、同じ年頃の狐面を付けた男の子。
神社の裏で膝を抱えてうなだれているのを、偶然見つけた私は彼に声をかけたんだ。
「ねえ、あなた稲荷神社のお狐様の子なの?」
「は……? 誰?」
「私? 福ちゃん」
「知らない……」
お面で顔は見えないけれど、鼻をすすってる音がした。
泣いているのかな?
「狐さん、どうしたの? なにか悲しいことがあったの?」
「……父さんと一緒に来たのに……いなくて」
「もしかして迷子になっちゃった?」
コクンとうなずいた彼は、うわあんと泣き始めちゃった。
どうしよう、こまったなあ、だって私も迷子だもん。
でも困っている人には親切にするのよってお母さんが言ってたから、なんとかしなきゃ!
「あのね、あのね、福ちゃん、いいもの持ってるの。狐さんにも一つあげるね?」
浴衣の袖に隠して家から二つ持ってきた大福を、一つあげる。
「福ちゃんのおうちは、望月和菓子店っていうの。これは、うちで作った大福なの。甘くて、とっても美味しいんだよ」
「大福の福……」
「うん、福ちゃんのほっぺは白くてまん丸で、もちもちした大福みたいねって、おばあちゃんが言ってた」
アハハと笑ったら、お狐様は手にした大福と私を見比べて「似てるかも」と少しだけ笑ってるみたい。
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