初恋の君は、闇を抱く。
「……ふーん」
それだけ言って、紗夜は小さく笑った。
「思ってたより、普通の子だね」
普通、ってなんだろう。
答えがわからず立ち尽くしていると、紗夜はふっと視線を逸らし、夜の交差点を見渡した。
「ねぇ」
今度は私に向けて。
「ここ、長くいる場所じゃないよ」
心臓がどくっと鳴る。
「優しい人ほどさ、長居すると疲れる」
……なに、それ。
意味がわからないのに、なぜか胸の奥が冷える。
「紗夜」
イブが低く名前を呼ぶ。
「余計なこと言うなって言ったよな」
その声は、さっきの男の子たちを追い払った時よりも、ずっと強かった。
紗夜は肩をすくめる。
「忠告しただけ」
それから私を見て、ほんの少しだけ表情を緩めた。
「気を悪くしたならごめんね」
「……い、いえ」
そう答えたけど、心は全然落ち着いてなかった。
「あ、そうだ。最後に一つだけ」
ちらっと私を見てから、再びイブの近くに寄る紗夜。