初恋の君は、闇を抱く。
夜風が少し冷たい。

歩きながらイブは何も話さなかった。

でも手は繋がれたまま。

あのままゼロ番にいたらどうなってたかな。

三上って人……どういうつもりなんだろう。

イブがいなくてゼロ番は大丈夫なんだろうか、私だけがイブを独占しちゃって……。

「今は何も考えるな、大丈夫だから」

イブがなにか感づいたかのように私にそう言う。

「でもごめん……」

「なんで謝る」

「だって……私のせいで……」

自分でも驚くくらい、声が弱かった。

イブは少し考えるみたいに黙ってから、繋いだ手を離さずに振り返る。


「違うから。お前のせいじゃない」


夜の街灯に照らされた顔は、ゼロ番にいる時よりずっと近くて。

思わず息を止める。


「……三上が悪い。あいつちょっと考えズレてんだよ」

「でもゼロ番は大丈夫かな、あの人今いるんでしょ?」

「俺がいなくても、ゼロ番は回る……そういう場所だから」




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