闇底の純愛
京はバニラのカップアイスを手に、部屋に戻ってきた。
床に座り、ベッドに背を預ける。
そのまま、首だけをこちらに向ける。
「そういえば、最近酔ちゃん家、野菜とか肉とかちゃんとあるよね。前はほんとに何もなかったのに。自炊でもしてるの?」
「いや。自炊はしてない。京が来るから買い物行ってるだけ」
「……ふぅん?」
それを聞くと、京がにやぁ、と口端を吊り上げた。
「酔ちゃん、俺にご飯作ってもらいたくてわざわざ買い出しに行ってんだ?」
しまった。調子に乗らせた。
でも悔しいことに事実なので、否定のしようもなく、視線を彷徨わせる。
「俺のつくるご飯好き?」
「…...………そりゃ、まあ…...」
たっぷり沈黙をつくってから言った。
またウザ絡みされる、と思ってうんざりする。
..……が、構えてたのに、なにも言ってこない。
不思議に思って視線を向けると、京は口元に手を当て、そっぽを向きながら耳を少し赤く染めていた。
「......京?なに照れてんの?」
「や、だって、素直に肯定してくれると思わなくて……」
「……...…」
会話が途切れる。
沈黙には慣れているはずなのに、なんだか居心地が悪い。
「……歯磨きしてくる」
そう言って、逃げるように部屋を出た。