闇底の純愛
待つこと数分。バイクのけたたましい音が近づいてくる。
数は、およそ四十人。連中は、バイクをそこらに雑に止め、余裕たっぷりの足取りで京に近づいた。
「おいおいおいィ、なんだァ?オマエ。そこどいてくれよォ、オレらァ、その倉庫に用があんだ」
「ごめん、お話すんのも悪くないんだけど、ちょっと寝みぃからさ。ささっとかかってきて?」
京がナチュラルに煽ると、連中の額に一斉に青筋が浮き出る。
「あ"ぁ?」
「ほら、早く」
今度はわざと手を前に出し、指先をくいっと曲げて挑発する。
「分からせてやんねぇといけねぇみてぇだなァ!!!坊ちゃん!」
主格っぽい人が京に殴り掛かると他の奴らも雄叫びを挙げて一斉にかかっていく。
……うるさい。
顔を顰め、銃を持っていない方の手で片耳を塞ぐ。
京はというと、危なげなく次々と相手を沈めていっていた。
この程度であれば、四十人でも五十人でも、かすり傷一つ負うことなく片付けるだろう。
ひたすら殴りかかってくるやつらの拳をいとも簡単に避け、腹に一発ずつカウンターを入れる。
その隙に後ろから角材で殴り掛かってこようとしてる男の前に、別の男の頭を引っ張ってきて、一人沈める。
動揺したその男を盾にして、また一人。
京の周囲にはあっという間にゴミが積み上がっていく。
相変わらず凄まじいな。
圧倒的すぎて見ていて気持ちがいい。
私は、その隙に、怯えてこっそり逃げ出そうとしているやつの足を撃っていく。
多分、というか、絶対京はそいつらも視界に入れてるので、私がいなかったらあとで一人で追いかけて片付けちゃうのだろう。
大方片付いて来たところで、物陰から顔を出し、さっき撃った中で目をつけていた男の前まで歩いていく。
「なんだ、お前……ヒィッ!?」
突然現れた私を訝しげに見ていた男は、銃を向けると露骨に怯えた顔になった。
「誰に命令されて来たか言え。」
京だけに手柄を取られるつもりはない。
私もしっかり働こうと思う。