ハリボテロミオの夏の夢
即答だった。
間髪入れずに、朱里さんはイデの告白を断る。
突然のことにイデは言葉を失って、手にしていた朱里さんの髪がはらりとこぼれ落ちていく。
「な……なっ……ッ!」
「どなたか存じ上げませんが、気持ちのこもっていない告白ほど、悲しいものはないと思いませんか?」
にっこり、朱里さんは微笑む。
その顔もすごく可愛かった。
「それに……」
私、もう心に決めた人がいるんです。
そう言って、朱里さんはロッカールームへ戻って行った。
「おい、お前っ!」
稽古場に響く声。朱里さんと入れ替わるように、蘭くんがこっちに向かってくる。
その顔は、明らかに怒りがこもっていた。
「このクソ大事な時期に、何してんだ!!!」
「あ、ご……ごめんなさい!!!」
僕は咄嗟に蘭くんから目を背けると、一目散に稽古場から逃げ出した。