ハリボテロミオの夏の夢
「……もう!なんてことしてくれたんだよ……!!!」
旧校舎の稽古場に逃げ込んで、僕は着ていたTシャツを脱ぎながら、イデを睨みつける。
そのイデはというと、
「フラれた……俺様が?この俺様が……フラれた……?」
自分がフラれるとは本当に一ミリも思っていなかったみたいで、この通り放心状態だ。
そのおかげで、僕も自分の体に戻れたわけだけど……。
正直、僕の方がダメージが大きい。
なんたって、あの朱里さんに告白してしまったんだから。
本当、どうしよう……。
「うぅ……もう朱里さんに合わす顔がない……」
「だ、大丈夫!あの感じだったら玲央って気づいてないよぉ!」
「いつもと雰囲気が別人でしたからね!」
「……本当?」
「本当!本当!!」
レテとアルが必死に僕を励ましてくれる。
確かに、朱里さんも誰?って言ってたくらいだし、僕ってバレてない……よね?
服を着替え終えて、アクセサリーを外す。最後にワックスで固められた前髪を手でわしゃわしゃと乱暴にほぐして、いつもの髪型に戻した。
割れたガラスで自分の顔を確かめれば、メガネがない以外はいつもの僕だ。
さっきの姿とは、似ても似つかない。
うん。
これなら、きっと……大丈夫!……多分。
メガネがなくて落ち着かない、けど、こうなればもうやけだ。
「玲央は部活へ行ってください。このバカは私たちが責任を持って家に連れて帰ります」
「任せて〜」
「わかった。よろしくね」
イデのことはアルとレテに任せて、僕は覚悟を決めて再び部室へ向かった。