【完結】Blackberry

10 昼食会

「し、し、してません!」

「ふぅん…?
まぁ、そういう事で良いけど…?」

意味ありげに私を見る一ノ瀬さん。

♦︎♦︎♦︎

それから、その日は実業家との昼食会があると言っていた。
私はデニムではあんまりという事で、GU◯CIに連れて行かれた。

「お嬢様風に仕立ててやって。
メイクとヘアも頼む。
ヘアはダウンスタイルで。」

一ノ瀬さんがテキパキと指示する。

店のスタッフはほとんどが一ノ瀬さんと視線を合わせようとしない。
ここでも彼の存在は有名なようだ。

「まぁ、お客様、艶々のお肌で!」
「こちらの薄紫のツイードのマーメイドワンピースがよろしいかと…」
「髪もふわふわですね!」

「あ、じゃあ、それでお願いします…」

こういう場所に慣れてない私はとりあえずそう言った。

そして、25万円のパールのカチューシャを付けて、40万円のツイードのワンピースを着て、あっという間にお嬢様の出来上がりだった。
確かにあっぱれだ。

「ふぅん、馬子にも衣装、だな。」

「素直に褒めてください!」

「やだ。」

やだ、って子供か!

とりあえず昼食会に参加できる格好になった私は青山のロザンナという高級レストランに向かった。

「会員制のレストランだからな。
ドジるなよ?」

「はいはい。」

「はい、は一回!」

「これは、一ノ瀬社長!
お久しぶりですな!」

中年の紳士風の男性が現れた。

「どうも、お久しぶりです、水口さん。」

「おやおや、こちらの美しい女性は?」

「あぁ、今日の同伴者で、月城梨紗と言います。
どうぞ、よろしく。
梨紗、こちらはIT企業・センシアの社長の水口さんだ。」

IT…企業…
センシア…?

確か、ある物語の終末、という携帯ゲームで有名な会社だ!
何せ私もよくやっていたのだ!

「あ、あの…!
ある物語の終末、楽しみにしています!!!」

私は咄嗟に応援団のような大声でそう言ってしまった。

「ほぉ、うちのゲームをしてくれているとは、お目が高い。」

水口さんは、笑いながらそう答えた。

「ね、ねぇ?」

私は一ノ瀬さんの袖を引っ張りながら、小声で尋ねる。

「なんだよ?」

「なんで、センシアの社長が極道と繋がってるのよ…!」

「はぁ?
IT企業は大体が、ヤクザと繋がりのある、関連企業だぜ?
ITといえば、出会い系サイトっていうネット風俗の温床だからな。
風俗が絡めばネットとは言え俺たちへのみかじめ料が必要なのさ。
現に、センシアも携帯ゲームの傍ら、ヒートアップっていう出会い系サイトを運営している。」

一ノ瀬さんは答えた。

そして、そんな有名企業の社長達との昼食会が始まった。
困ったのは、私がマナーを知らない事。
一ノ瀬さんを見れば食べ方がものすごく綺麗だった。
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