【完結】Blackberry

9 打ち込み

「お楽しみのところすいません。」

綺羅君は言う。

「分かってるなら、来るなよ。」

一ノ瀬さんは否定もせずにそう言った。

来てくれて良かった…
私がその時心の中でそう言ったのは、まぁ、黙ってるとしよう…

「離反した木本竜(きもとりゅう)らと連絡がつきました。
奴らはオレオレ詐欺や振り込め詐欺を本流とするとして、こちらに干渉してこない事を要求してきました。
ケジメ金として、3000万円も支払うと言っています。」

「なるほど…
オレオレ詐欺と振り込め詐欺じゃ、俺たちのシノギとは被らないから目を瞑ってくれ、という事か…」

「まぁ、そうでしょうねぇ。
でも、ケンカするんでしょ?」

綺羅君がキラキラした瞳でそう言った。

「分かってるじゃないか、綺羅。
3000万円だと?
そんはしょぼい金で俺が黙る訳がねぇ。
すぐに、こちらの答えはノーだと返事をしろ。
徹底抗争の始まりだとよ。」

「はいっ!
分かりましたぁ!」

綺羅君…
そんな満面の笑みで…

私はオロオロするばかりだった。

「若頭!
ORIONに不特定多数の車が向かっています!」

私たちの護衛に付いていた男の1人が言う。

「動き出したか!
綺羅!
こっちの頭数は何人だ!?」

一ノ瀬さんは拳銃に弾を込めながら、そう言った。

「上の事務所からも引っ張ってきて、12人です!
応援を呼ぶけど、間に合わないですぅ!」

綺羅君が両手に拳銃を持ち、ナックルを付けた。

ヒィィィィィ…!

なに!?
何が起きてるの!?

「全員戦闘体制!
びびるなよ!
腰が引けるやつは俺が撃ち抜くぞ!
逃げ場なんてねぇ!
殺るか、殺られるかだ!!!」

一ノ瀬さんがそう言って一階に上がっていく。

「梨紗さんはここに居てください!
上は危険ですからぁ!」

そして、数秒後。

銃を発砲する音が幾つも鳴った。

「ぶっ殺せぇぇぇ!」

一ノ瀬さんは完全に戦闘モードらしい。

私は震える膝を抱き抱え、違法賭博場の隅でうずくまっていた。

5分か…
いや、もっと…?

銃声が鳴り響いていただろうか?

それはピタリと止み、静寂が訪れた。

終わった…?

一ノ瀬さん…!!!

私の頭の中には血だらけの一ノ瀬さんがよぎった…!

私は階段を駆け上がる。

「い、一ノ瀬さん!」

「あん?
梨紗?
どうした?
そんなに慌てて?」

彼はカウンターでタバコをくゆらせながら、呑気にそう尋ねた。

「け、け、怪我は…!?」

「あぁ、威嚇だよ。
打ち込みだけで、入り込んでもきやしねー。
腰抜けだな、ありゃあ。」

「こっちは1人撃ち抜いたけどねー。」

綺羅君がにこやかに言う。

「なに、お前…?
まさか、俺を心配したのか…?」

ニヤニヤと聞く一ノ瀬さん。
< 9 / 48 >

この作品をシェア

pagetop