【完結】Blackberry

12 幹部会

side一ノ瀬燐牙

目が覚めると、梨紗が隣で小さな寝息を立てていた。
俺は彼女の頬にそっとキスすると、寝起きの頭をスッキリさせる為にコーヒーメーカーのボタンを押した。

その日、木本竜らが鬼千会を離反してから結成したと見られる《《六道会》》に、どう対処するか?の幹部会が開かれる予定だった。

会長(組長)を筆頭に、鬼千会の幹部が集結する。

梨紗には、少し用事がある、と言っておき、兵藤に世話を頼んでいる。
奴は鬼千の死神として恐れられており、俺への忠誠も熱い。
綺羅に頼もうか?迷ったが、綺羅はあぁ見えて女に手が早いからな…
それに女ウケも何故か良いし…
と思ってやめた。

そんな事を気にする自分がちっぽけで、かなりみっともなかったが、同時に悪く無い気分だった。

そして、俺はシャワーを浴びると、シワひとつ無い新品の真っ黒なスーツに腕を通した。
幹部会に出る時は新しいものを下ろすと決めている。

「燐牙さん、お車の用意ができました。」

兵藤が俺にそう伝えにくる。

「あぁ、今行く。
梨紗の事頼んだぞ。」

「承知しました。」

ヤクザらしくも無い丁寧な言葉で答える兵藤を、俺は少し呆れた表情で見ながら、エレベーターに乗った。

幹部会は本部である。
本部というのは、鬼千会の本事務所の事だ。

黒のリムジンが異様な数集まっている。
会長はヘリでやってくるようで、ヘリコプターまで飛んでいた。

俺は車から降りると、事務所に向かった。

「よぉ、燐牙。」

そう声をかけてきたのは、オジキの尊田純一(そんだじゅんいち)
オジキとは、つまり会長の舎弟にあたる。
俺たちヤクザは擬似の家族関係で結ばれており、叔父に当たる人物をオジキ、兄貴分に当たる人物をアニキ、親に当たる人物をオヤジ、と呼んでいるのだ。

若頭か、会長の舎弟か、どちらが偉いか?と言われれば、鬼千会では会長の舎弟であるオジキの方である。
まぁ、それはそれぞれの組によって違う。

「オジキ、久しぶりです。」

俺は深々とお辞儀する。

「久しぶりのケンカだ。
楽しもうじゃ無いか。」

オジキはそういうと、俺の肩を一発、ぱぁん!と叩いた。
それだけで、俺は背筋がシャキッとするのを感じた。

「…分裂…か。」

幹部会にて、会長が重たい口を開いた。

「…今回の分裂抗争では…
若頭たる一ノ瀬燐牙に全ての決定を任せる。
みんな、援護してやってくれ…」

会長がそう言うと、みんなから血の気の多い声が上がった。

「ぶっ潰してやろーや!」
「アニキ、俺に鉄砲玉をやらせてください!」
「いーや!1番隊はうちの奴らに!」
「殺しまくってやりましょー!」

「燐牙、お前の意見は?」

会長から振られて俺は立ち上がって一礼した。
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