【完結】Blackberry

13 賞金首

side一ノ瀬燐牙

「みんな、聞いてくれ…
今回、離反したのは準幹部だった6人と準構成員30名ほどだ。
おそらく、準構成員達は6人に声をかけられたんだろう。
準構成員達の士気は低いかもしれないが、油断はできない。
奴らは俺たちを潰さなきゃ生き残る道は無いと覚悟を決めている。
こっちだって、そうだろ?
舐められたまま下がれるか?
そんな事はできねー。
俺たちのプライドにかけて…
奴らを皆殺しする…!

今回の分裂抗争で1番隊を買って出たら、相応の報酬を渡す。
準幹部6人を殺って、服役した者には幹部の地位を約束する。
もちろん、服役したく無い者には逃亡用の資金も保証する。

最近じゃ、ヤクザにも学が必要だの、商才が必要だの、色々と言われてるが…
俺たちの本領は、ケンカだ!
そうだろ!?
兄弟達よ、派手にやってやろうぜ!

ここに鬼千会あり!
と、世間に知らしめるんだ!!!」

俺がそう言ったと同時に怒号のような歓声が沸き起こった。

そして、幹部会は一致団結して終わろうとしていた。
が…!

幹部会中ずっとノートパソコンを開いていた情報収集担当の稲上(いながみ)が声を上げた。

「若頭!
昨日の昼食会で車に乗り込む時の写真がSNSにアップされています!」

「はぁ?
俺に賞金でもかけるつもりか?
もう大層な額がかかっているだろうがな。」

俺が冷静にそう言うと…

稲上は言いにくそうに言った。

「いえ、賞金がかかっているのは、若頭の隣の《《女》》のようです…!」

俺の…
隣の…

おんな…?

俺の脳裏に梨紗の儚げで美しい顔が過ぎる。

「幹部会は以上だ!
みんな、今のうちに英気を養っておいてくれ!」

俺はそう言うと、車に走って行った。

梨紗…!!!

「若頭…!
どこに行かれるんで…」

そう言う若い衆の言葉を振り切り、アクセルを思い切り踏んだ。

高速を走り、20分足らずで屋敷に着いたが、俺の冷や汗は止まらなかった。

彼女を見るまでは…

「梨紗…っ!!!」

「あれ…?
今日はまるまる居ないって…?」

不思議そうな顔をして、屋敷の猫にチュールを食べさせていた梨紗が笑顔で近づいてきた。

俺は…

彼女を引き寄せ…

そして…

強く抱きしめた…

「えっ…?
ちょ?
一ノ瀬さん…?」

「何でも無い…
ただ…
もう少しこのままで…」

俺はそう言って彼女の髪からわずかに香るシャンプーの匂いを胸に吸い込んだ。

彼女は温かく柔らかかった。
彼女のふくよかな胸からトクン、トクン…と鼓動がかすかに感じ取れた。

俺はもう、梨紗を手放す事は出来なかった。

ヤクザが弱味など作って何になる…?

そう自分に問いかけたが、この気持ちを止める事はもう出来なかった。
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