【完結】Blackberry
17 逃走
その夜とうとう、別宅が包囲されてしまった。
私と兵藤さんらは車で山道に逃げたが、激しいカーチェイスが始まり、ついに車のタイヤは銃撃によってパンクした。
私は車から降り、夜の山道を逃げた。
夜の山は、怖いくらい静かだった。
ペタペタと濡れた落ち葉を踏む音が、やけに大きく響く。
「はぁ…はぁ……」
兵藤さんと離れてから、どれくらい走ったのだろう。
冷たい空気が肺に刺さって、息を吸うたび胸が痛む。
ダメだ…落ち着け、落ち着かないと――
その時、背後でカサッ、と何かが揺れた。
「……誰?」
返事はない。
次の瞬間だった。
「見つけたぞ、白いコートの女。」
背中を冷たい手でなぞられたみたいに、ゾワッと鳥肌が立った。
木の陰から、二人の男がゆっくり姿を現した。
月明かりに照らされてニヤつく顔。
その目は、私じゃなく—“金”を見ている。
「逃げんなよ? あんた、いま値が付いてんだ。」
「っ……来ないで……!」
私は反射的に後ずさったけど、足が根っこに引っかかり――
「きゃっ!」
背中から地面に倒れ込んだ。
痛みよりも、迫って来る二人の影の方が怖かった。
腕を掴まれ、無理矢理起こされる。
「離してっ……離して!」
「おっと暴れるなよ。顔に傷つけたら木本さんに怒られるんでね。」
木本――
一ノ瀬さんと敵対してる、あの六道会のトップ。
まさか本当に狙われるなんて。
「やめてっ……! いやっ……!」
叫んでも山は沈黙するだけ。
誰も来ない。
兵藤さんも、もう助けに来れない。
その時。
男の1人が私のスマホを奪い、乱暴に電源を切った。
「さ、乗れ。」
抵抗しても無駄だった。
腕を締め上げられ、私は半ば引きずられるようにして停めてあった黒いワゴンに押し込まれた。
ドアがバタンと閉じた瞬間、胸の奥に冷水を流し込まれたような感覚が走る。
一ノ瀬さん…
どうか、どうか気づいて……。
私は声にならない声で、ただ彼の名前を胸の中で叫んでいた。
私と兵藤さんらは車で山道に逃げたが、激しいカーチェイスが始まり、ついに車のタイヤは銃撃によってパンクした。
私は車から降り、夜の山道を逃げた。
夜の山は、怖いくらい静かだった。
ペタペタと濡れた落ち葉を踏む音が、やけに大きく響く。
「はぁ…はぁ……」
兵藤さんと離れてから、どれくらい走ったのだろう。
冷たい空気が肺に刺さって、息を吸うたび胸が痛む。
ダメだ…落ち着け、落ち着かないと――
その時、背後でカサッ、と何かが揺れた。
「……誰?」
返事はない。
次の瞬間だった。
「見つけたぞ、白いコートの女。」
背中を冷たい手でなぞられたみたいに、ゾワッと鳥肌が立った。
木の陰から、二人の男がゆっくり姿を現した。
月明かりに照らされてニヤつく顔。
その目は、私じゃなく—“金”を見ている。
「逃げんなよ? あんた、いま値が付いてんだ。」
「っ……来ないで……!」
私は反射的に後ずさったけど、足が根っこに引っかかり――
「きゃっ!」
背中から地面に倒れ込んだ。
痛みよりも、迫って来る二人の影の方が怖かった。
腕を掴まれ、無理矢理起こされる。
「離してっ……離して!」
「おっと暴れるなよ。顔に傷つけたら木本さんに怒られるんでね。」
木本――
一ノ瀬さんと敵対してる、あの六道会のトップ。
まさか本当に狙われるなんて。
「やめてっ……! いやっ……!」
叫んでも山は沈黙するだけ。
誰も来ない。
兵藤さんも、もう助けに来れない。
その時。
男の1人が私のスマホを奪い、乱暴に電源を切った。
「さ、乗れ。」
抵抗しても無駄だった。
腕を締め上げられ、私は半ば引きずられるようにして停めてあった黒いワゴンに押し込まれた。
ドアがバタンと閉じた瞬間、胸の奥に冷水を流し込まれたような感覚が走る。
一ノ瀬さん…
どうか、どうか気づいて……。
私は声にならない声で、ただ彼の名前を胸の中で叫んでいた。