【完結】Blackberry
48 白い朝と
抗争が終わって、
しばらく経ったある朝。
私は、
燐牙の腕の中で目を覚ました。
……正確には、
腕枕、というやつ。
昔の私なら、
「極道の妻がこんな無防備でいいの?」
なんて思ったかもしれない。
でも今は、
この場所が一番安心する。
「……起きてる?」
低い声が、
頭の上から落ちてくる。
「うん、今起きた」
そう答えると、
燐牙の腕に少し力が入った。
――これ。
この、
言葉にしないやり取り。
戦いが終わってから、
燐牙は少し変わった。
いや、
正確には「戻った」んだと思う。
会長としての顔。
修羅場を越えた男の顔。
それでも、
私の前ではちゃんと“夫”でいてくれる。
「今日、予定は?」
「午前は会議。
午後は空いてる」
「じゃあさ」
私は、
彼の胸元に額を押し付けた。
「午後、
一緒にスーパー行こ」
一瞬、
間が空く。
「……スーパー?」
「うん。
昨日、卵切れた」
燐牙は、
少し困った顔をしたあと――
ふっと笑った。
「……本当に、
普通の生活に引きずり込むな」
「嫌?」
「嫌じゃねぇ」
即答だった。
それが、
嬉しくて。
私は、
彼のシャツを軽く掴む。
抗争のあと、
屋敷は少し静かになった。
銃の代わりに、
書類が増え。
怒号の代わりに、
電話と会議。
鬼千会は、
少しずつ変わっている。
……正直、
順調とは言えない。
でも。
「梨紗」
燐牙が、
私の髪に指を通す。
「お前、
無理してねぇか」
「してないよ」
私は、
顔を上げて笑う。
「一緒だから」
その言葉に、
燐牙は何も言わなかった。
ただ、
額に軽くキスをする。
それだけで、
全部伝わる。
午後。
二人でスーパーに行った。
周囲から見たら、
たぶん普通の夫婦。
……たぶん。
「ねぇ、
そのネギ、
一本でよくない?」
「いや、
二本いる」
「絶対余るって」
「余ったら、
俺が食う」
「燐牙、
ネギそんな好きだったっけ?」
「……最近はな」
意味深に言うから、
私は笑ってしまった。
夜。
ソファで並んで座り、
テレビを見ながら、
私は彼の肩に寄りかかる。
「ねぇ」
「なんだ」
「抗争、
終わってよかったね」
燐牙は、
しばらく黙っていた。
「……ああ」
「でもさ」
私は、
小さく続ける。
「終わったあとも、
あなたが生きてて、
一緒にいてくれるのが、
一番よかった」
燐牙の手が、
私の手を強く握る。
「……当たり前だ」
そう言いながら、
声は少しだけ低い。
その夜。
灯りを落とした寝室で、
私は彼の胸に頬を預ける。
心音が、
規則正しい。
――生きてる。
それだけで、
十分だった。
「梨紗」
「なに?」
「……俺を、
白くしすぎんなよ」
「え?」
「黒いままの部分も、
俺だからな」
私は、
少し考えてから答えた。
「うん」
「でもね」
彼の胸に、
指で小さな円を描く。
「白い朝に、
あなたがいるなら」
「それで、
いいと思う」
燐牙は、
何も言わなかった。
ただ、
私を強く抱き寄せた。
血と闇の世界で出会って、
それでも選んだ未来。
完璧じゃない。
でも――
愛してる。
私は、
この人と生きていく。
黒い人と、
白い日々を…
ハッピーエンド♥️
しばらく経ったある朝。
私は、
燐牙の腕の中で目を覚ました。
……正確には、
腕枕、というやつ。
昔の私なら、
「極道の妻がこんな無防備でいいの?」
なんて思ったかもしれない。
でも今は、
この場所が一番安心する。
「……起きてる?」
低い声が、
頭の上から落ちてくる。
「うん、今起きた」
そう答えると、
燐牙の腕に少し力が入った。
――これ。
この、
言葉にしないやり取り。
戦いが終わってから、
燐牙は少し変わった。
いや、
正確には「戻った」んだと思う。
会長としての顔。
修羅場を越えた男の顔。
それでも、
私の前ではちゃんと“夫”でいてくれる。
「今日、予定は?」
「午前は会議。
午後は空いてる」
「じゃあさ」
私は、
彼の胸元に額を押し付けた。
「午後、
一緒にスーパー行こ」
一瞬、
間が空く。
「……スーパー?」
「うん。
昨日、卵切れた」
燐牙は、
少し困った顔をしたあと――
ふっと笑った。
「……本当に、
普通の生活に引きずり込むな」
「嫌?」
「嫌じゃねぇ」
即答だった。
それが、
嬉しくて。
私は、
彼のシャツを軽く掴む。
抗争のあと、
屋敷は少し静かになった。
銃の代わりに、
書類が増え。
怒号の代わりに、
電話と会議。
鬼千会は、
少しずつ変わっている。
……正直、
順調とは言えない。
でも。
「梨紗」
燐牙が、
私の髪に指を通す。
「お前、
無理してねぇか」
「してないよ」
私は、
顔を上げて笑う。
「一緒だから」
その言葉に、
燐牙は何も言わなかった。
ただ、
額に軽くキスをする。
それだけで、
全部伝わる。
午後。
二人でスーパーに行った。
周囲から見たら、
たぶん普通の夫婦。
……たぶん。
「ねぇ、
そのネギ、
一本でよくない?」
「いや、
二本いる」
「絶対余るって」
「余ったら、
俺が食う」
「燐牙、
ネギそんな好きだったっけ?」
「……最近はな」
意味深に言うから、
私は笑ってしまった。
夜。
ソファで並んで座り、
テレビを見ながら、
私は彼の肩に寄りかかる。
「ねぇ」
「なんだ」
「抗争、
終わってよかったね」
燐牙は、
しばらく黙っていた。
「……ああ」
「でもさ」
私は、
小さく続ける。
「終わったあとも、
あなたが生きてて、
一緒にいてくれるのが、
一番よかった」
燐牙の手が、
私の手を強く握る。
「……当たり前だ」
そう言いながら、
声は少しだけ低い。
その夜。
灯りを落とした寝室で、
私は彼の胸に頬を預ける。
心音が、
規則正しい。
――生きてる。
それだけで、
十分だった。
「梨紗」
「なに?」
「……俺を、
白くしすぎんなよ」
「え?」
「黒いままの部分も、
俺だからな」
私は、
少し考えてから答えた。
「うん」
「でもね」
彼の胸に、
指で小さな円を描く。
「白い朝に、
あなたがいるなら」
「それで、
いいと思う」
燐牙は、
何も言わなかった。
ただ、
私を強く抱き寄せた。
血と闇の世界で出会って、
それでも選んだ未来。
完璧じゃない。
でも――
愛してる。
私は、
この人と生きていく。
黒い人と、
白い日々を…
ハッピーエンド♥️


