『待つ女』をやめたら、『追われる女』になりました【短編】





「シャルロッテ侯爵令嬢! 貴様とは婚約破棄をする!!」

 学園の卒業パーティー。
 エドゥアルト王太子は恋人のローゼを伴って、シャルロッテに向かって得意満面に叫んだ。

 彼はこの日のために婚約破棄の証拠――愛しい恋人への嫌がらせや、侯爵令嬢として相応しくない言動などの客観的な(・・・・)証言を準備していた。
 王太子妃にはシャルロッテではなくローゼこそ適切だと、今こそ訴えるのだ。

「――って、おい! シャルロッテはどこだ!」

 エドゥアルトは目を剥く。
 シャルロッテの友人の令嬢を見かけて、その隣にはシャルロッテと同じ髪色の令嬢がいたので不意打ちを食らわせようと、大音声で婚約破棄宣言をしたのだが。

「侯爵令嬢は、卒業式の終了後にすぐに帝国へ向かわれました」と、いつも王太子とシャルロッテの言伝を預かっていた護衛が淡々と述べた。

「なんだとっ!?」

「そして、こちらが侯爵令嬢からの婚約破棄の証明書です。……国王陛下の署名もございます」

「はあぁっ!?」

「決定事項です」

「そういうわけだ、エドゥアルト」

「ち……父上!?」

 気が付くと、国王や大臣たちが王太子を囲んでいた。
 次の瞬間、屈強な王宮近衛騎士に彼は呆気なくねじ伏せられてしまった。

「ぐっ……。どういうことですか、父上!?」

 国王の相貌が鋭く光る。

「さぁ、始めようか。廃太子へ向けての査問会議を」


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