この恋に名前をつけるとするならば

「何か、色々大変だったみたいだね。」

アップルティーを受け取りわたしがそう言うと、命くんは「まぁ···、会社にはめちゃくちゃ迷惑をかけてしまいました。」と苦笑いを浮かべていた。

「でも、命くんはどうして白猫運輸をずっと続けてたの?有名になってまで続けなきゃいけない理由があったの?」

わたしがそう訊くと、命くんはこめかみ辺りを人差し指でポリポリとかき、返答に困っているように見えた。

「あっ!そんな無理に話す必要ないからね?!色々事情もあるだろうし!」

マズイことを訊いてしまったのかと、わたしが慌ててそう言うと、命くんは「いや、そういうわけじゃないです。」と何だか照れくさそうに言った。

「白猫運輸を辞めなかったのは···、麗月さんに会う為です。」
「···えっ?」
「麗月さんに会うのが目的で、続けてました。」

命くんの言葉に思考が停止してしまうわたし。

(わたしに会うのが目的で···続けてた?)

「とり丸に毎日集荷に行くようになって、会社で一人で仕事をしている麗月さんを初めて見た時は、かっこいいなぁって思いました。何でも一人でこなしてて、凄いなぁ〜って。最初は尊敬から始まって···、それがいつの間にか、毎日麗月さんに会うのが楽しみになってて。」

命くんはそう言うと、わたしの方を向き、「俺、麗月さんに惹かれてました。」と真っ直ぐな瞳で伝えてくれたのだ。

「あははっ!気持ち悪いっすよね!ただの配達員にそんな気持ち抱かれても!」

命くんはそう言って笑い誤魔化そうとしたが、わたしは全く(気持ち悪い)だなんて思わなかった。

むしろ、仕事をしている姿から"惹かれてました"という気持ちに移り変わってもらえた事が嬉しかった。
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